タイでは国際会計基準に準拠すべく、退職給付会計が公開株式会社・非公開株式会社ともに強制適用されています。
退職給付会計は、将来発生する退職金に対する当期末の負債額を計算する方法です。

タイでは、企業の退職金制度は一般的とは言えませんが、労働者保護法において119日を超えて勤務した従業員を解雇する場合は原則解雇補償金を支払うことが定められており、定年退職も解雇補償金対象となりますので、退職金制度が無くても、将来の定年退職者の解雇保証金を算定して、退職給付債務を計上しなければなりません。

タイの労働者保護法が改正され、4月5日付官報に掲載され、5月5日に施行されました。
これにより、従来は「10年以上勤務した従業員に対して、最終賃金の300日分」であった解雇保証金の上限が、「20年以上勤務した従業員に対して、最終賃金の400日分」に変更となりました。

下記は非常に簡易的な計算例です(2019年5月5日以降に決算を迎える場合)。

【条件】
現在の月額報酬 : 50,000バーツ
現在の年齢 : 42歳
現在の勤続年数 : 12年(30歳で中途入社)
定年退職までの年数 : 18年(入社から合計30年間勤続予定)
昇給率 : 年間3%(以降も変化が無いものとする)
当社の42歳社員が定年退職する確率 : 30%(自己都合退職や死亡は解雇保証金の対象外)
10年国債の利率 : 年2.435%(以降も変化が無いものとする)

【計算】
定年退職時の月額報酬 : 50,000バーツ×1.0318年=85,122バーツ
想定される解雇補償金 : 85,122バーツ÷30日(労働者保護法の1か月は30日)×400日(勤続20年以上は400日分)=1,134,955バーツ
想定される解雇補償金の現在価値 : 1,134,955バーツ×(1-0.02.435)^18年=728,235バーツ
当期末の負債額 : 728,235バーツ×12年÷30年×30%=87,388バーツ

【結果】
当期末の退職給付債務は87,388バーツとなります。

このコーナーでは、タイでの経営実務に影響する最新情報を簡易的に提供しています。
法令の適用条件は各企業を取り巻く様々な環境によって異なる場合があり、また法律の改正や新しい勅令・省令・告示等が予定されている場合もありますので、自社への影響や対応は必ず弁護士・公認会計士等の専門家とご検討ください。
専門家に心当たりがない場合はご紹介いたします。お気軽に弊社までご相談ください。