タイで外国人(企業含む)が事業を行う場合、“サービス業を含まない純粋な製造業”以外は外国人事業法で規制されているため、BOI(タイ王国投資委員会)から投資奨励恩典を受けて外国人事業委員会から許可を得ない限り、原則タイ人(企業含む)との合弁により外国人判定されないスキームが必要です。
現在施行されている外国人事業法の外国人判定は非常にシンプルで、次のようになっています。

株式保有率 株主総会議決権 取締役会議決権 判定
現行の
外国人事業法
タイ人>外国人 タイ人>外国人 タイ人>外国人 タイ人
タイ人<外国人
タイ人<外国人 タイ人>外国人
タイ人<外国人
タイ人<外国人 タイ人>外国人 タイ人>外国人 外国人
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タイ人<外国人 タイ人>外国人
タイ人<外国人

すなわち、会社の実質的な支配権が外国人に有っても、株式保有率のみで判定が行われていることになります。

外国人事業法は、タイ人保護のための法律ですが、これではその趣旨が全うできないため、以前から改正が検討されてきました。
しかしながら、タイ経済は外国からの投資に大きく依存しているため、外国企業からのみではなく、タイ国内からも強い反発があり、民政時においては改正は事実上困難です。
そこで、クーデター後の軍事政権で改正を押し通してしまおうという流れにつながることになりますが、今回も日本人商工会議所を始めとする外国人商工会議所の猛反発を受けて、12月3日にプラユット・ジャンオーチャー首相は口頭で「外国人事業法の改正は当面行わない」旨表明しました。

http://region6.prd.go.th/ewt_news.php?nid=6435&filename=index
กฎหมายการดำเนินธุรกิจของต่างชาติ (Foreign Business Act) ย้ำว่า รัฐบาลยังไม่มีการแก้กฎหมายฉบับนี้

ただし、これはあくまでも首相の表明であるため、念のため改正案は把握しておく必要があります。
今回の改正案では、株式保有率に加え、株主総会での議決権も判定要素に加えられています。
すなわち次のようになります。

株式保有率 株主総会議決権 取締役会議決権 判定
外国人事業法
2014改正案
タイ人>外国人 タイ人>外国人 タイ人>外国人 タイ人
タイ人<外国人
タイ人<外国人 タイ人>外国人 外国人
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タイ人<外国人 タイ人>外国人
タイ人<外国人

2006年のクーデター後の軍事政権では、取締役会の議決権にも手を付けようとしていたため(背景緑の部分)、それよりは緩いですが、今回の改正案でも実施されてしまうと、優先株による支配スキームが使えなくなるなど、決して小さくはない影響が出るため、タイ人と合弁する日系企業にとって、改正見送り表明はまずは朗報です。

このコーナーでは、タイでの経営実務に影響する最新情報を簡易的に提供しています。
法令の適用条件は各企業を取り巻く様々な環境によって異なる場合があり、また法律の改正や新しい勅令・省令・告示等が予定されている場合もありますので、自社への影響や対応は必ず弁護士・公認会計士等の専門家とご検討ください。
専門家に心当たりがない場合はご紹介いたします。お気軽に弊社までご相談ください。